ダックスフンド。あるいは、ダックスフント。 ドイツ原産の犬種。巣穴に潜ってアナグマを狩るために手足が短くなった犬。胴の長さも特徴的な犬。 彼らは気付いてしまった。 「ココアちゃ~ん! 身体長いね~!」 この長い胴は人間に気に入られていることに。たくさん撫でてもらえる。胴が長い分、撫でてもらえる面積も増える。 「クッキーちゃん、撫でられて嬉しいのかな? めっちゃ尻尾振ってるね~ちぎれちゃいそうだね~」 ダックスフンド達は撫でてもらうことが好きだった。そして人間達も、ダックスフンドの長い胴を撫でるのを好んだ。 その結果、ある時から、ダックスフンドの胴が伸び始めた。まるで粘土やパン生地を伸ばすかのように、撫でられ続けたダックスフンドの胴は伸び始めたのである。 人間が無茶苦茶に撫で回した、というのも要因の一つだが、ダックスフンド達が「より胴を長くしたら、よりかわいがってもらえるし、撫でてもらえる面積も増える」と気付いたのが、胴が伸びた要因の8割だった。 当初は1メートルもなかった胴の長さだが、あっという間に1メートルを超えてしまった。そこに留まらず、ダックスフンド達は長い年月をかけ、子々孫々にその意思を継いでいき、胴を伸ばしていく。 長くなったダックスフンドは、更に人間に愛されるようになった。 足は短いままだった。 ダックスフンドは、もはや犬とは呼べないものとなったが、大したことはなかった。長い年月をかけて姿を変えていった犬はほかにもいる。スケーターハスキー、おちょこプードル、パーフェクトモップマルチーズ、防弾毛皮ドーベルマンダックスフンドが伸びたところで、ただ伸びただけ。
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2025/03/10
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